白金 PLATINUM〜プラチナ〜

プラチナを含めた、物理的・科学的性質の似ている6種類の元素、
パラジウム・ロジウム・ルテニウム・オスミウム・イリジウムを
白金族元素またはプラチナ系貴金属(PGM = platinum group metals)と呼び、
ここに金と銀を加えた8種類の元素の総称を貴金属と言います。

この中で宝飾に適しているのが金・銀・プラチナです。

日本は、世界有数のプラチナ消費国で、用途別プラチナ需要では、
日本のプラチナは、そのほぼ半数が宝飾用に使われています。
それは、ジュエリー分野での需要量で見れば、世界一位になるほどです。
プラチナの国際価格が、東証株価や日本の景気動向により
激しく変動することもあるそうです。

では、プラチナを供給している国はどこなのかというと、
全産出量の約75%が南アフリカ共和国で、次いでロシアが約20% 、
カナダ・アメリカが約5%となっています
有史以来、その生産量は約4000トンです。
とても多く感じますが、これは一辺が6m の立方体の箱に収まる大きさで、
金の1/35しか生産されていません。
3g ほどの小さな指輪を作るために、原鉱石1トンが必要なほど、
含有量が少ない金属です。

日本では明治30年頃から昭和30年代前半まで、
北海道で砂白金として採取されていました。
しかし砂金採取の副産物として発見され、イリドスミンとも呼ばれたこの砂状の物質は、
プラチナ系貴金属の6種類のうち、イリジウム、オスミウムが成分のほとんどを占め、
プラチナを1%未満しか含んでおらず、融点が非常に高く硬いため、
装飾品などの細工には向かず、明治28年に北海道庁が調査に乗り出し、内に含まれる
プラチナの価値が明らかにされるまでは、捨てられていたそうです。

これよりも160年以上前の1735年、プラチナは、
スペインの軍人であり、探検家・天文学者でもあった、アントニョ・デ・ウリョーアにより
コロンビアのピント川で発見され、プラチナ・デル・ピント(ピント川の小粒の銀)と
命名され、初めてプラチナと呼ばれるようになります。
しかし 「熔けない金属」 「未熟な金」 として銀よりも価値の低かったプラチナは、
1700年代半ばには、プラチナの延べ棒に金でメッキをした物を輸出する
金の偽造などで使われるなど、散々な扱いだったようです。

熔けない金属と言われる所以として、プラチナの融点は1770℃と高く、
温度が1200℃にも達する通常の火災では、
融点が1064℃の金や961℃の銀は熔けてしまいますが、プラチナは熔けません。
ちなみに、鉄の融点が1536℃なので、いかに高いかが分かりますね。
銀のテキストで記述した、スペインによる南米への侵略の際に、
当時、珍重されていた銀と勘違いし略奪したものの、
銀と同じ加工設備では熔かすことができずに大量に廃棄されたそうです。

そして比重は金が19.32 銀が10.49 なのに対し、プラチナは21.45とズシリと重く、
10cm角の立方体で21キロを超える重さになります。
※比重とは、ある物質の質量と、それと同体積の基準となる物質の質量の比のことです。
固体・液体は水(温度指定の無い場合4℃)を、気体は、同温度・同圧力の空気を基準とする。


品位について。
プラチナはシルバー同様に、千分率で純度を表記します。
日本の造幣局では、プラチナの純度の品位を4種類で区分しています。
刻印はPtとされますが、以前はPmと刻印されていたものもあるようです。


品位と使われ方

Pt1000(純プラチナ)
金や銀と同様に、なにも混ぜないままでは柔らかく、変形したり傷がつきやすいので
ジュエリーとしては不向きですが、最近は「ハード加工」と呼ばれる熱処理を行うことにより
ある程度の硬さでジュエリーとして仕上げることが出来るようになりました。
それでも細身のリングや細工の細かいものでは変形しやすいため、ボリュームのある
造りのものが多いようです。


Pt900
ジュエリーに使う場合、Pt950ではまだ柔らかいため、プラチナと相性のよいパラジウムを
割金として10% 混ぜたPt900が一般的です。
また、ここに1〜3%のルテニウムを加えることで硬度が上がります。
しかし、プラチナもパラジウムも、自動車産業が近年の世界規模での排ガス規制の対応策として
その触媒作用に注目し、買い走りをしたために価格が高騰しました。
世界的な用途別需要では、ほぼ半数のプラチナが自動車触媒として利用されています。
欧米では割金として、銅、コバルト、イリジウム、ルテニウムが使われるようです。


Pt850
パラジウムを15% まぜたもの。
この純度になると硬度的にもプラチナチェーンやネックレスとして使える硬さになります。
しかしPt900での記述どおり、パラジウムも安価な金属ではないので、
純度と裏腹に、高く付いてしまう場合もあります。



上記の4種で区分するため、造幣局で品位証明を受けるためには
85% 以上の純度が必要ということになります。


現存する最古のプラチナ製品は、
パリのルーブル美術館に展示されている「テーベの小箱」です。
テーベとは古代エジプトの都市の名前で、現在はルクソールと呼ばれ
「王家の谷」で有名な場所ですが、そのテーベの第25王朝、テーベ王の娘である
女性神官シェペヌペットT世の墓から出土したものです。

また、既述しました、スペインの南米侵略でプラチナ製品が
強奪、廃棄されたことからも分かるように、インカ帝国の人々もプラチナや、
それを金や銀と合金にした宝飾品を作りだす高度な冶金技術を有していました。
プラチナの加工技術が確立され始めたのが1750年代からですから、
それよりもはるか昔にその魅力に気付き、技術を高め加工していた古代の人々に
畏敬の念をはらわずにはおれません。

銀テキストへ← →金テキストへ


indexへ